デ・リマ選手を妨害した暴漢の男
２００４年、アテネオリンピック陸上男子マラソンで沿道から男がコースに乱入し、トップを走っていたデ・リマ選手（ブラジル）に妨害体当たりして歩道に押し出すハプニングが起きましたがその時の妨害の男について少し書いてみました。
２００４年、アテネオリンピック陸上男子。デ・リマ選手（左）と妨害男
２００４年、アテネオリンピック陸上男子マラソンで沿道から男がコースに乱入し、トップを走っていたデ・リマ選手（ブラジル）に妨害体当たりして歩道に押し出すハプニングが起きた事は記憶にある方もおられると思います。デ・リマ選手は妨害を受けながらも警察や一般人の手により、、なんとかコースへ復帰できましたが、デ・リマ選手は妨害により約１５秒ものタイムロスを負ってしまいました。レースには復帰しましたがリズムを乱し、間もなく後続の選手に抜かれて銅メダルに終わリました。
デ・リマ選手を妨害した男 「コーネリアス ホーラン容疑者」
警察によると、デ・リマ選手を妨害した男は、コーネリアス ホーラン容疑者アイルランド出身の元司祭で50代後半。拘束後の調べに対し「キリストの再臨に備えて（デ・リマ選手を妨害）捕まえた」などと供述しており、警察は「精神的に重大な問題があるようだ」としている。容疑者の元司祭はＦ１英国ＧＰでもレース中にコースに侵入。またテニスの全英オープンでも過去に乱入騒ぎを起こした事があるという。 デ・リマ選手を妨害したときは赤い巻きスカートに緑のベレー帽姿の元司祭は、３６キロ付近で左側からコースに侵入。デ・リマ選手に飛び付き妨害、抱えるようにして観客で埋まる右側の歩道に押し出した。
デ・リマ選手を妨害したコーネリアス ホーラン容疑者に有罪
ＡＰ通信によると、アテネ五輪男子マラソン デ・リマ選手を妨害したコーネリアス ホーラン容疑者に対し、ギリシャの軽犯罪を担当する裁判所は３０日、執行猶予付きの禁固１年と罰金３０００ユ－ロ(日本円で約342,500円)の判決を言い渡した。
また、デ・リマ選手を妨害したコーネリアス ホーラン容疑者の地元アイルランド観光スポーツ相、同国オリンピック組織委員長、容疑者の兄らが連名でデ・リマ選手に謝罪してきたことが明らかになった。さらに同相は同地で行われるマラソン大会に同選手を招へいし、特別表彰をする旨伝達してきたとのこと。これに対し
デ・リマ選手は「別に恨んでもいないし、銅メダルを取れて幸せだ」と返答したという。容疑者の元神父は、この事件でギリシャ当局に逮捕され、略式裁判で一年の有罪判決が云い渡されたが、保釈金を払って釈放された。しかしその時イギリスで児童へのわいせつ容疑で公判中のため、国外への出国は禁止された上、毎日警察に出頭して市内在住を確認されていた。同容疑者はＦ１のシルバーストン・サーキットで場内に飛び出してレースを妨害した前歴とテニスのウィンブルドン選手権でも過去に乱入騒ぎを起こしていたという。
金よりも輝く「銅メダル」悲劇に見舞われたマラソンランナーの言葉に世界が感動
2016.08.03
1996年アトランタ大会、2000年シドニー大会と連続出場していたデ・リマ選手（ブラジル）は、3度目のオリンピック挑戦で好走を見せ、36km付近まで2位以下に40秒以上もの差をつけ、金メダルに向け独走していました。
しかし36km地点、突如沿道からコースに乱入してきた男に抱きつかれ、歩道に押し込まれてしまいます。なんとか立ち上がり再びレースに復帰しましたが、一度乱れたペースを戻すのはそうとう困難であった様子でした。スピードの落ちたデ・リマ選手は後続を走っていたステファノ・バルディーニ選手（イタリア）とメブ・ケフレジギ選手（アメリカ）に抜かれ3位となる。しかしオリンピックスタジアムに姿を表すと、スタンドの大歓声に応えて笑顔でゴールし、銅メダルを獲得しました。
金メダルに限りなく近い状況から妨害による失速となったデ・リマ選手でしたが、試合後の記者会見では犯人に対するコメントはせず「完走して銅メダルが取れたことが本当に嬉しかった。これはまだ私は金メダルを取ってはいけないのだ！という神が与えた試練なのだ。」と語った。
そのスポーツマンシップは、世界中に大きな感動を呼び、「金よりも輝く銅メダル」と呼ばれました。国際オリンピック委員会は、妨害にあっても立ち上がりゴールしたその姿勢、その強靭な精神力を称え、近代オリンピックの父と言われるクーベルタン男爵の名を冠した特別なメダルをデ・リマ選手に贈ったという。
