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ベンゼンの毒性とは?豊洲市場から100倍のベンゼンが検出 について

ベンゼンの毒性とは?豊洲市場から100倍のベンゼンが検出について書いてみました。東京都の豊洲市場(江東区)の地下水再調査で、国の環境基準値の最大100倍のベンゼンが検出されたことが、3月19日に開かれた地下水再調査・専門家会議外部有識者の「専門家会議」(平田健正座長)で報告されました。

 

発がん性は高い?ベンゼンの毒性

ベンゼンとは?

ベンゼンは、炭素と水素からできている有機化合物の部類に入る化学物質で、有機物ともいいいます。無色透明な液体で、液体の有機物は有機溶剤と呼び人間が暮らす環境下では80度で沸騰し気体になりまた、通常の温度でも少しずつ蒸発し空気中に混じっていきます。

 

原油に含まれる「芳香族炭化水素(ほうこうぞくたんかすいそ)」と呼ばれる化合物のひとつもベンゼンで、引火性が高く、甘い香りがする液体です。引火性が高いということは揮発性も高く、気化し易く、呼吸等で人体に取り込まれやすいというのも重要です。

 

ベンゼンの毒性と、発がん性

 

ベンゼンが持つ、発がん性と毒性について、IARC(国際ガン研究機関)によって発がん性があると勧告されています。この「発がん性がある」という勧告は、5グループに分けられる発がんリスクの順で、ベンゼンは「グループ1」という「ヒトに対して確実に発癌性がある」という、一番被害が深刻なグループに属します。

 

ベンゼンは紫外線などに反応し、発癌性が高いラジカル種である「フェニルラジカル」というものを発生させます。このフェニルラジカルは他の物質との反応性が非常に高く、発癌性が高いラジカル種であると言われています。

 

そして、ベンゼンはヒトの体内機関では分解されにくく、長く留まり続け、結果発癌リスクが非常に高まることから『すぐに気体になって身体に入ってくる上に、長い間身体の中に居座って、発癌性の高い物質を出し続ける危険なもの』ということになります。

 

発がん性以外の毒性は、白血球、赤血球が減少し悪性貧血になる可能性があり、

・骨髄に影響し血液を造るのを阻害する

・生殖毒性、胎児への影響

・大量にベンゼンの蒸気を吸い込むと、麻酔作用、呼吸障害を引き起こす

・大量にベンゼンの蒸気を吸い込むと、気管炎、咽頭炎、気管支炎、肺の大量出血の可能性

などがあげられています。長期間接して起こる発がん性のリスクも危険ですが、こちらの方短期間でも起こるリスクになります。

 

 

ベンゼンの用途と特徴

ベンゼンが、全て悪というわけではなく、石油化学においては基礎的化合物のひとつとして位置づけられキチンとした用途もあり、世の中に役立っている部分もあります。

 

原油などの炭素が豊富に含まれた物質を不完全燃焼させて生産し、火山の噴火や森林火災でも発生し、煙草の煙にも含まれています。1950年代までは製鉄業における石炭を使用したものから作られていましたが、現在では9割以上が石油から作られています。

 

ベンゼンの用途は材料としての役割を持ちます。プラスチックの原料になるスチレンや、樹脂の原料になるフェノール、ナイロンの原料になるシクロヘキサンなどの材料にもなります。

 

ベンゼンに毒性や発がん性があるのは今では常識ですが、その毒性が発見される前はペンキはがしや染み抜きなどの、家庭用の有機溶剤にも広く使用されていました。現在ではベンゼンに変わって毒性が少ないトルエンが使用されており、日本では労働安全衛生法の規定により、すでに溶剤としてのベンゼン使用は原則禁止されています。

 

まとめ

ベンゼンはそのまま検出されると危険極まりないのですが、世の中に必要な材料の一つでもあるということでもあります。しかし、ベンゼンの危険性は世界中で重要視されており、これまでも発がん性による業務災害が発生しており大気汚染に関する環境基準も定められているほどです。

 

特に食べ物の中に含まれる場合は微量でも問題になり、イギリスでは食品添加物から生成された微量のベンゼンを含む清涼飲料水が自主回収されました。

 

また、都市ガスを製造する際にも発生し、土壌の中でその濃度は濃くなります。地下水も汚染されることから、その跡地で生鮮食品を扱うのは非常に危険なことといわれ、移転で話題の豊洲市場においては国の環境基準値の最大100倍もの濃度のベンゼンが検出されています。

 

今後の豊洲市場の移転についてますます目が離せない状況になっています。